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最終更新日 2012年01月25日 


 2012年(平成24年度)センター試験古文

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◆ 2012年(平成24年度)センター試験古文
 2012年のセンター試験は、1月14日(土)と15日(日)の2日間にかけて行われ、 国語の試験は14日(土)に行われました。 本文と訳文、品詞分解を掲載いたします。訳と品詞分解は、当センターにて作成したものです。

2012年 古文 本文

 この国の都なすあたりのかたはらなる、中田といふ所に住む人ありけり。代々鷹飼ふことをわざとしつつ、身はいやしながら、志ありて、あがれる世の手ぶりを慕ひ、何くれと学ばまく欲りするなかに、手書くことをなん、たてては好めりし、されど、摺巻に伝はれる書のほか、師とする人もなき山ふところに、あやなく思ひをくらさんよりは、山城の大都に上りて、高き手ぶりをも見あきらめばやと、ゆくりなく思ひおこして、岩根黒土踏みさくみて、文化四年といふ年の弥生ばかり、まゐのぼれりしに、世のわき知らぬ山がつのおしはかりとはたがひて、高き宮のうちには、かくと言ひよらんたづきもなく、至れるいやしき身には、御伝へも下らずと聞きて、はやりかなりし心もしなへうらぶれつつ、行く先をようもたどらでおほけなく思ひ立ちぬることを思へば、井に住む鮒の大海に出でぬるに似たり。かくのみにて空しく帰らんことを思へば、鳴る神につく獣の、雲におくれたるに似たり。いとはしたなりと思ひ屈しつつ、名所など見めぐりて籠りをりき。
 さるは、石井了陸といふ人のもとにぞ宿れりし。この家に、おぼえずおぼえず持明院の宮の宮人来あひて、酒飲み、物語などするに、「この田舎人は、かかる志の侍りて、はるばるにまゐのぼり来しを、その志遂げずして帰らんことを、いたく思ひ嘆きはべるなり」と、あるじの語り出でたるを、かの宮人つぶさに聞きて、「いと不便なりつることかな。おしなべては叶ひがたきことなれど、志の深さには、高きいやしきけぢめもなきものぞ。我よくこととり申さん」と、うけがはれたるに、うれしきことたとへんものなし。この人のはからひによりて、おほけなき御前わたりも御許しありて、入木といふ書法を御手づから伝えたまはせりなどしつつ、本意にもこえで事なりぬれば、身に余りてうれしと思ひて、道の奥に下るきざみ、先の宮人、この人の二なき志をめで給ひて、琴を送られしが、絃一筋ある琴なりき。これに歌そへよとあるに、

 一筋に思ふ心は玉琴の緒によそへつつひきや伝へむ

 家なども、もとよりは広く清らに作りなして、めぐりに松子植ゑわたし、移り行く月日にそへてめではやししを、こたみ公より蝦夷が千島に防人を置かるることありて、この国よりもまづ出ださるるによりて、その数に指されて、出で立たむとす。「行き帰るまで、さる広き家に女子のみ置きては守りがたし」とて、家をば売り、女子は人のもとに預けて行く。その心にかはりて、

 家出でて行くかひありと思ひしに家なくなりて行けばかひなし

 二筋に落つる涙も一筋の玉の小琴にかけにけるかも

 その琴は、むかし行平の中納言、流されて須磨におはせし時、庇の杉を風の吹きおとしたるが、その形面白かりければ、くしげの箱なる元結を一筋ひきかけて、調べ給へるよりはじまりて、今も伝はれるなりとぞ。

2012年 古文 現代語訳

※機械翻訳に若干の手を加えた物です。
 この国の都をなす付近のかたわらにある、中田という所に住む人が存在した。  

2012年 古文 品詞分解

※機械翻訳に若干の手を加えた物です。
 こ/の【名詞+格助詞:この】 国【名詞:国】 の【格助詞:の】 都【名詞:都】 なす【サ行四段活用動詞「なす」連体形:なす】 あたり【名詞:付近】 の【格助詞:の】 かたはら【名詞:かたわら】 なる【存在の助動詞連用形:にある】 、 中田【名詞:中田】 と【格助詞:と】 いふ【ハ行四段活用動詞「いふ」連体形:いう】 所【名詞:所】 に【格助詞:に】 住む【マ行四段活用動詞「住む」連体形:住む】 人【名詞:人】 あり/けり【ラ行変格活用動詞「あり」連用形+過去の助動詞「けり」終止形:存在した】 。代々【名詞:代々】 鷹【名詞:鷹】 飼ふ【ハ行四段活用動詞「飼ふ」連体形:飼う】 こと【名詞:こと】 を【格助詞:を】 わざ【名詞:仕事】 と【格助詞:と】 し/つつ【サ行変格活用動詞「す」連用形+接続助詞:しながら】 、 身【名詞:身分】 は【係助詞:は】いやし/ながら【シク活用形容詞「いやし」終止形+:低いけれど】 、 志【名詞:誠意】 あり/て【ラ行変格活用動詞「あり」連用形+接続助詞:あって】 、 あがれ/る【ラ行四段活用動詞「あがる」已然形+完了の助動詞「り」連体形:あがっている】 世【名詞:世間】 の【格助詞:で】 手ぶり【名詞:手ぶり】 を【格助詞:を】 慕ひ、【ハ行四段活用動詞「慕ふ」連用形:慕って、】 何くれと【副詞:いろいろ】 学ば/まく【バ行四段活用動詞「学ぶ」未然形+推量の助動詞「む」のク語法:学ぶであろうようなこと】 欲りする/なか/に、【サ行変格活用動詞「欲りす」連体形+名詞「なか」+断定の助動詞「なり」連用形:希求する中であって、】 手【名詞:手】 書く【カ行四段活用動詞「書く」連体形:書く】 こと【名詞:こと】 を【格助詞:を】 なん【係助詞】 、 たて/て【タ行下二段活用動詞「たつ」連用形+接続助詞:たてて】 は【係助詞:は】 好め/り/し【マ行四段活用動詞「好む」已然形+完了の助動詞「り」連用形+過去の助動詞「き」連体形:好んだ】 、 されど【そうではあるけれど:接続詞】 、 摺巻【名詞:印刷本】 に【格助詞:に】 伝は/れ/る【ハ行四段活用動詞「伝ふ」未然形+受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」未然形+受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」終止形:伝えられる】 書【名詞:文書】 の【格助詞:の】 ほか【名詞:ほか】 、 師【名詞:先生】 と【格助詞:と】 する【サ行変格活用動詞「す」連体形:する】 人【名詞:人】 も【係助詞:も】 なき【ク活用形容詞「なし」連体形:ない】 山ふところ【名詞:山に囲まれた奥深い土地】 に【格助詞:に】 、 あやなく【ク活用形容詞「あやなし」連用形:わけがわからなく】 思ひ【名詞:気持ち】 を【格助詞:を】 くらさ/ん【サ行四段活用動詞「くらす」未然形+婉曲の助動詞「ん」連体形:過ごすようなの】 より/は【格助詞+係助詞:よりは】 、 山城の大都【名詞:京都】 に【格助詞:に】 上り/て【ラ行四段活用動詞「上る」連用形+接続助詞:上って】 、 高き【ク活用形容詞「高し」連体形:高い】 手ぶり【名詞:手ぶり】 を/も【格助詞+係助詞:さえも】 見【マ行上一段活用動詞「見る」連用形:見】 あきらめ/ばや【マ行下二段活用動詞「あきらむ」未然形+終助詞:明らかにしたい】 と【格助詞:と】 、 ゆくりなく【ク活用形容詞「ゆくりなし」連用形:思いがけなく】 思ひ【ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形:思い】 おこし/て【サ行四段活用動詞「おこす」連用形+接続助詞:おこして】 、 岩根【名詞:根がはったように土中にしっかりと固定された岩】 黒土【名詞:黒土】 踏みさくみ/て【マ行四段活用動詞「さくむ」連用形+接続助詞:踏み分けて行って】 、 文化四年【名詞:西暦1807年】 と【格助詞:と】 いふ【ハ行四段活用動詞「いふ」連体形:いう】 年【名詞:年】 の【格助詞:の】 弥生【名詞:3月】 ばかり【副助詞:ぐらい】 、まゐのぼれ/り/し/に【ラ行四段活用動詞「まゐのぼる」已然形+完了の助動詞「り」連用形+過去の助動詞「き」連体形+接続助詞:うかがったが】 、世【名詞:世間】 の【格助詞:の】わき【名詞:わき】 知ら/ぬ【ラ行四段活用動詞「知る」未然形+打消の助動詞「ず」連体形:知らない】 山がつ【名詞:山で生活する身分の低い人】 の【格助詞:の】 おしはかり【名詞:推量】 と【格助詞:と】 は【係助詞:は】 たがひ/て【ハ行四段活用動詞「たがふ」連用形+接続助詞:ちがって】 、 高き【ク活用形容詞「高し」連体形:高い】 宮【名詞:宮】 の【格助詞:の】 うち【名詞:うち】 に【格助詞:に】 は【係助詞:は】 、 かく【副詞:このように】 と【格助詞:と】 言ひ【ハ行四段活用動詞「言ふ」連用形:言い】 よら/ん【ラ行四段活用動詞「よる」未然形+婉曲の助動詞「ん」連体形:よるような】 たづき【名詞:手段】 も【係助詞:も】 なく、【ク活用形容詞「なし」連用形:なくて、】 至れ/る【ラ行四段活用動詞「至る」已然形+完了の助動詞「り」連体形:やって来ている】 いやしき【シク活用形容詞「いやし」連体形:身分が低い】 身【名詞:身】 に【格助詞:に】 は【係助詞:は】 、 御【接頭語】 伝へ【名詞:伝え】 も【係助詞:も】 下ら/ず/と【ラ行四段活用動詞「下る」未然形+打消の助動詞「ず」終止形+終止形:下らないと】 聞き/て【カ行四段活用動詞「聞く」連用形+接続助詞:聞いて】 、はやりかなり/し【ナリ活用形容動詞「はやりかなり」連用形+過去の助動詞「き」連体形:はしゃいだ感じであった】 心【名詞:心】 も【係助詞:も】 しなへ【ハ行下二段活用動詞「しなふ」連用形:しなやかにたわんで】 うらぶれ/つつ【ラ行下二段活用動詞「うらぶる」連用形+接続助詞:悲しみに沈んでは】 、行く【カ行四段活用動詞「行く」連体形:行く】 先【名詞:先】 を【格助詞:を】 よう【ク活用形容詞「よし」連用形:よく】  も【係助詞:も】 たどら/で【ラ行四段活用動詞「たどる」未然形+打消の接続助詞:たどらないで】 おほけなく【ク活用形容詞「おほけなし」連用形:身分不相応に】 思ひ【ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形:思い】 立ち/ぬる【タ行四段活用動詞「立つ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連体形:立ってしまう】 こと【名詞:こと】 を【格助詞:を】 思へ/ば【ハ行四段活用動詞「思ふ」已然形+接続助詞:思うと】 、井【名詞:井戸】 に【格助詞:に】 住む【マ行四段活用動詞「住む」連体形:住む】 鮒【名詞:鮒】 の【格助詞:の】 大海【名詞:大海】 に【格助詞:に】 出で/ぬる/に【ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連体形+格助詞:出てしまうのに】 似/たり【ナ行上一段活用動詞「似る」連用形+完了の助動詞「たり」終止形:似ている】 。いと【副詞:とても】 はしたなり/と【ナリ活用形容動詞「はしたなり」終止形+格助詞:はんぱであると】 思ひ屈し/つつ【サ行変格活用動詞「思ひ屈す」連用形+接続助詞:気が滅入っては】 、 名所【名詞:名所】 など【副助詞:なんか】 見めぐり/て【ラ行四段活用動詞「見めぐる」連用形+接続助詞:見てまわって】 籠り/をり/き【ラ行四段活用動詞「籠る」連用形+ラ行変格活用動詞「をり」連用形+過去の助動詞「き」終止形:こもっていた】 。
  さるは【接続詞:それにしても】 、 石井了陸【名詞:石井了陸】 と【格助詞:と】 いふ【ハ行四段活用動詞「いふ」連体形:いう】 人【名詞:人】 の【格助詞:の】 もと【名詞:もと】 に【格助詞:に】 ぞ【係助詞】 宿れ/り/し【ラ行四段活用動詞「宿る」已然形+完了の助動詞「り」連用形+過去の助動詞「き」連体形:宿った】 。こ/の【名詞+格助詞:この】 家【名詞:家】 に【格助詞:に】 、 おぼえ/ず【ヤ行下二段活用動詞「おぼゆ」未然形+打消の助動詞「ず」連用形:感じなく】 おぼえ/ず【ヤ行下二段活用動詞「おぼゆ」未然形+打消の助動詞「ず」連用形:感じなく】 持明院【名詞:持明院】 の【格助詞:の】 宮【名詞:宮】 の【格助詞:の】 宮人【名詞:宮中に仕えている人】 来あひ/て【ハ行四段活用動詞「来あふ」連用形+接続助詞:偶然に出会って】 、 酒【名詞:酒】 飲み、【マ行四段活用動詞「飲む」連用形:飲んで、】 物語【名詞:物語】 など【副助詞:なんか】 する/に【ラ行四段活用動詞「する」連体形+格助詞:すると】 、


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