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最終更新日 2012年01月25日  


 2007年(平成19年度)センター試験古文

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◆ 2007年(平成19年度)センター試験古文
 2007年に行われたセンター試験で出題された古文の本文、現代語訳、品詞分解を掲載いたします。

2007年 古文 本文

 かくて過ぎゆくほど、御心のこれに移るとはなけれど、おのづから慰むかたもあるにや、昼なども折々は渡らせ給うて、碁打ち、偏継ぎなど、さまざまの御遊びどもあれば、按察使の君は宮の御姿をつくづくと見るに、かの夜な夜なの月影に、さだかにはあらねど見しひとにたがふところなければ、「世にはかかるまで通ひたる人に似たる人もあるにや」と思ふに、見慣るるままには、物のたまふ声、けはひ、様体、みなその人なれば、あまり心ひとつに思ふも心もとなくて、侍従にしかじかと語り給へば、「さればよ、我もいと不思議なることども侍り。かのたびたびの御共に候ひし蔵人とかや言ひし人、ここに候ひて、ことさら『宮の御乳母子なり』とて、人もおろかならず思ふさまなり。昨日も内裏へ参らせ給ふとて、出でさせ給ふを見侍れば、たびたびの御文もて往にたる御随身も、『御前駆追ふ』とて忙はしげなるさまにて候ひしは、かの中将は仮の御名にて、宮にてぞおはしましけんや」と。
 いとど恥づかしく悲しくて、「さもあらば見つけられ奉りたらん時、いかがはせん。跡はかなく聞かれんとこそ思ひしを、かかるさまにて見え奉らん、いと恥づかしきことにも」と、今さら苦しければ、宮おはします時はかしこうすべりつつ見え奉らじとすまふを、「人もいかなることにかと見とがめんか」と、これも苦しう、「とてもかくても思ひは絶えぬ身なりけり」と思ふには、例の、涙ぞまづこぼれぬる。
 ある昼つかた、いとしめやかにて、「宮も今朝より内裏におはしましぬ」とて、持たせ給へる筆にて墨をいと濃う塗らせ給へば、按察使の君、にほひやかにうち笑ひて、その傍らに、

 初霜も、置きあへぬものを白菊の早くもうつる色を見すらん

 と、いと小さく書き付け侍るを、姫君もほほ笑み給ひつつ御覧ず。
 をりふし、宮は音もなく入らせ給ふに、御硯なども取り隠すべきひまさへなく、みなすべりぬるに、姫君もまぎらはしに扇をまさぐりつつ寄りゐ給ふ。按察使の君は、人より異にいたう苦しくて、御几帳の後ろよりすべり出でぬるを、いかがおぼしけむ、しばし見やらせ給ひて、かの跡はかなく見なし給ふ人のこと、ふと思し出でつつ恋しければ、過ぎにしことども繰り返し思し出でつつ寄り臥させ給ふに、御硯の開きたる、引き寄せさせ給へば、ありし御手習ひの、硯の下より出でたるを取りて見給ふに、姫君はいと恥づかしくて顔うち赤らめつつ、傍らそむき給ふさま、いとよしよししくにほひやかなり。
 宮つくづくと御覧ずるに、白菊の歌書きたる筆はただいま思ほし出でし人の、「草の庵」と書きて捨てたるに紛ふべうもあらぬが、いと心もとなくて、「さまざまなる筆どもかな。誰々ならん」など、ことなしびに問はせ給へど、うちそばみおはするを、小さき童女の御前に候ひしを、「この絵は誰が書きたるぞ。ありのままに言ひなば、いとおもしろく我も書きて見せなん」とすかし給へば、「この菊は御前なん書かせ給ふ。『いと悪し』とて書き消させ給へば、わびて、按察使の君、この歌を書き添へ給うつ」と語り聞こゆれば、姫君は「いと差し過ぎたり」と、恥ぢらひおはす。

2007年 古文 現代語訳

※機械翻訳に若干の手を加えた物です。
 こうして過ぎていくくらい、心がこれに移ることはないけれども、自然と和ませる方もあるのであろう、昼なんかも時々は渡らせなさって、碁を打ったり、偏継ぎ(文字遊びの一種)なんかをしたり、いろいろと遊んだりなんかすることがあると、按察使の君は宮の姿をつくづくと見ると、あの夜が来るたびの月明かりに、確かであるわけではないけれども知り合いの人と違うところがないと、「世の中にはこのようなまで通っている人に似ている人もいるのであろう」と思うと、見慣れるままには、口をおききになる声、様子、様体、みんなその人であると、あまり心をひとつに思うのも待ち遠しくて、侍従に及ばないだろうかと語りなさると、「思った通りだ、私もとても不思議であることなんかがあるのです。あのたびたびの共にお仕えした蔵人所の職員とか言った人が、ここにお仕えして、格別『宮の乳兄弟である』といって、人もいいかげんではなく思う様子である。昨日も宮中へ差し上げなさるからといって、出させなさるのを見るのでございますと、たびたびのお手紙をもって去っている護衛も、『身分の高い者の前を駆追う』といって忙しい様子でお仕えしたのは、あの中将は仮のお名前で、宮でいらっしゃったようなことか」と。  非常にきまりが悪くかわいそうであって、「そうであるなら見つけられて差し上げているような時が、どのようにしようか。跡ははかなく聞かれようと思ったのを、このような様子で見えて差し上げるようなのが、とても立派であることにも」と、今さら苦しいと、宮がいらっしゃる時は恐ろしくすべっては見えて差し上げないだろうと否定するのを、「人もどのようなことでなのかと見て責めようか」と、これも苦しくて、「いずれにせよ気持ちは絶えない身であった」と思うのには、いつものように、涙がまずこぼれてしまう。  とある昼の頃、非常に物静かに「宮も今朝から宮中にいらっしゃってしまう」といって、持たせなさっている筆で墨をとても濃く塗らせなさると、按察使の君が、美しく笑って、そのかたわらに、  今年初めて降りた霜も、置きあわないけれども白菊が早くもうつる色を見せているだろう  と、とても小さく書き付けるのでございますのを、ご令嬢もほほ笑みなさってはご覧になる。  そのとき、宮は音もなく入らせなさると、すずりなんかも取り隠すべき暇までもなくて、すべてすべってしまうところ、ご令嬢もごまかしに扇をまさぐっては寄っていなさる。按察使の君は、人より特別に激しく苦しくて、隔てで後ろからすべりだしてしまうのを、どのようにお思いになったのであろうか、少しの間見なさらせなさって、あの跡がはかなくことさらに見ることをしなさる人のことが、すぐにお思いになりだしては恋しいと、過ぎてしまったことなど繰り返しお思いになりだしては寄り臥させなさると、すずりで開いているのを、引き寄せさせなさると、あった手習いが、すずりで下から出ているのを取って御覧になると、ご令嬢はとても立派であって顔を赤らめては、かたわらにそむきなさる様子は、とても趣があって美しい。  宮をつくづくとご覧になると、白菊の歌を書いている筆はたった今思い出しなさった人が、「草の粗末な家」と書いて捨てているところはっきりしなくなるはずもないのが、とても待ち遠しくて、「さまざまである筆等だなあ。誰々だろう」などと、なにげなくたずねさせなさるけれども、横向きになりなさるのを、小さい童女で身分の高い者の前にお仕えしたのを、「この絵は誰が書いているのであるのか。ありのままに言ってしまうなら、とても趣深く私も書いて見せてしまう」とだましなさると、「この菊は身分の高い者が書かせなさる。『とてもよくない』といって書き消させなさると、つらく思って、按察使の君が、この歌を書き添えてしまった」と語って差し上げると、ご令嬢は「とても出しゃばっている」と、恥ずかしがりなさる。   

2007年 古文 品詞分解

※機械翻訳に若干の手を加えた物です。
  かくて【副詞:こうして】 過ぎ/ゆく【ガ行上二段活用動詞「過ぐ」連用形+カ行四段活用動詞「ゆく」連体形:過ぎていく】 ほど【名詞:ほど】、 御【接頭語】 心【名詞:心】 の【格助詞:の】 これ【名詞:これ】 に【格助詞:に】 移る/と【ラ行四段活用動詞「移る」連体形+:移ると】 は【格助詞:は】 なけれ/ど【ク活用形容詞「なし」已然形+接続助詞:ないけれども】 、 おのづから【副詞:自然と】 慰む【マ行下二段活用動詞「慰む」終止形:和ませる】 かた【名詞:方】 も【係助詞:も】 ある/に/や【ラ行変格活用動詞「あり」連体形+断定の助動詞「なり」連用形+係助詞「や」:いるのであろう】 、 昼【名詞:昼】 など【副助詞:なんか】 も【係助詞:も】 折々【名詞:時々】 は【係助詞:は】 渡ら/せ/給う/て【ラ行四段活用動詞「渡る」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連用形+接続助詞:渡らせなさって】 、 碁【名詞:碁】 打ち、【タ行四段活用動詞「打つ」連用形:打って、】 偏継ぎ【名詞:偏継ぎ(文字遊びの一種)】 など【副助詞:なんか】  、 さまざま【ナリ活用形容動詞「さまざまなり」語幹:さまざま】 の【格助詞:の】 御【接頭語】 遊び【名詞:遊び】 ども【接尾語:等】 あれ/ば【ラ行変格活用動詞「あり」已然形+接続助詞:あると】 、 按察使の君【名詞:按察使の君】 は【係助詞:は】 宮【名詞:宮】 の【格助詞:の】 御【接頭語】 姿【名詞:姿】 を【格助詞:を】 つくづく【副詞:つくづく】 と【格助詞:と】 見る/に【マ行上一段活用動詞「見る」連体形+格助詞:見ると】 、 か/の【名詞+格助詞:あの】 夜な夜な【副詞:夜が来るたび】 の【格助詞:の】 月影【名詞:月明かり】 に【格助詞:に】 、 さだかに/は/あら/ね/ど【ナリ活用形容動詞「さだかなり」連用形+係助詞+ラ行変格活用動詞「あり」未然形+打消の助動詞「ず」已然形+接続助詞:確かであるわけではないけれども】 見しひと【名詞:知り合いの人】 に【格助詞:に】 たがふ【ハ行四段活用動詞「たがふ」連体形:ちがう】 ところ【名詞:ところ】 なけれ/ば【ク活用形容詞「なし」已然形+接続助詞:ないと】 、 「 世【名詞:世の中】 に【格助詞:に】 は【係助詞:は】 かかる【連体詞:このような】 まで【格助詞:まで】 通ひ/たる【ハ行四段活用動詞「通ふ」連用形+完了の助動詞「たり」連体形:通っている】 人【名詞:人】 に【格助詞:に】 似/たる【ナ行上一段活用動詞「似る」連用形+完了の助動詞「たり」連体形:似ている】 人【名詞:人】 も【係助詞:も】 ある/に/や【ラ行変格活用動詞「あり」連体形+断定の助動詞「なり」連用形+係助詞「や」:いるのであろう】 」  と【格助詞:と】 思ふ/に【ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形+格助詞:思うと】 、 見【マ行上一段活用動詞「見る」連用形:見】 慣るる【ラ行下二段活用動詞「慣る」連体形:慣れる】 まま【名詞:まま】 に【格助詞:に】 は【係助詞:は】 、 物のたまふ【ハ行四段活用動詞「物のたまふ」連体形:口をおききになる】 声【名詞:声】 、 けはひ【名詞:様子】 、 様体【名詞:様体】 、 みな【名詞:みんな】 そ/の【名詞+格助詞:その】 人【名詞:人】 なれ/ば【断定の助動詞「なり」已然形+接続助詞:であると】 、 あまり【ラ行四段活用動詞「あまる」連用形:あまり】 心【名詞:心】 ひとつ【名詞:ひとつ】 に【格助詞:に】 思ふ【ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形:思う】 も【係助詞:も】 心もとなく/て【ク活用形容詞「心もとなし」連用形+接続助詞:待ち遠しくて】 、 侍従【名詞:侍従】 に【格助詞:に】 しかじか【副詞:それそれ】 と【格助詞:と】 語り/給へ/ば【ラ行四段活用動詞「語る」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」已然形+接続助詞:語りなさると】 、 「 さればよ【慣用句:思った通りだ】 、 我【名詞:私】 も【係助詞:も】 いと【副詞:とても】 不思議【名詞:不思議】 なる【断定の助動詞「なり」連体形:である】 こと【名詞:こと】 ども【接尾語:等】 侍り【ラ行変格活用動詞「侍り」終止形:あるのです】 。 か/の【名詞+格助詞:あの】 たびたび【副詞:たびたび】 の【格助詞:の】 御【接頭語】 共【名詞:共】 に【格助詞:に】 候ひ/し【ハ行四段活用動詞「候ふ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:お仕えした】 蔵人【名詞:蔵人所の職員】 と/か/や【格助詞+係助詞間+投助詞:とか】 言ひ/し【ハ行四段活用動詞「言ふ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:言った】 人【名詞:人】 、 ここ【名詞:ここ】 に【格助詞:に】 候ひ/て【ハ行四段活用動詞「候ふ」連用形+接続助詞:お仕えして】 、 ことさら【格別】 『 宮【名詞:宮】 の【格助詞:の】 御【接頭語】 乳母子【名詞:乳兄弟】 なり【断定の助動詞「なり」終止形:である】 』  とて【格助詞:といって】 、 人【名詞:人】 も【係助詞:も】 おろかなら/ず【ナリ活用形容動詞「おろかなり」未然形+打消の助動詞「ず」連用形:いいかげんではなく】 思ふ【ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形:思う】 さま【名詞:様子】 なり【断定の助動詞「なり」終止形:である】 。 昨日【名詞:昨日】 も【係助詞:も】 内裏【名詞:宮中】 へ【格助詞:へ】 参らせ/給ふ/とて【サ行下二段活用動詞「参らす」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形+:差し上げなさるからといって】 、 出で/させ/給ふ【ダ行下二段活用動詞「出づ」未然形+使役・尊敬の助動詞「さす」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形:出させなさる】 を【格助詞:を】 見/侍れ/ば【マ行上一段活用動詞「見る」連用形+丁寧の補助動詞「侍り」已然形+接続助詞:見るのでございますと】 、 たびたび【副詞:たびたび】 の【格助詞:の】 御文【名詞:お手紙】 も/て【タ行四段動詞「もつ」連用形促音便(「っ」無表記)+接続助詞「て」:もって】 往に/たる【ナ行変格活用動詞「往ぬ」連用形+完了の助動詞「たり」連体形:去っている】 御随身【名詞:護衛】 も【係助詞:も】 、 『 御前【名詞:身分の高い者(の前)】 駆追ふ【ハ行四段活用動詞「駆追ふ」終止形:駆追う】 』  とて【格助詞:といって】 忙はしげなる【ナリ活用形容動詞「忙はしげなり」連体形:忙しい様子である】 さま【名詞:様子】 に/て【格助詞+接続助詞:で】 候ひ/し【ハ行四段活用動詞「候ふ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:お仕えした】 は【係助詞:は】 、 か/の【名詞+格助詞:あの】 中将【名詞:中将】 は【係助詞:は】 仮【名詞:仮】 の【格助詞:の】 御名【名詞:お名前】 に/て【格助詞+接続助詞:で】 、 宮【名詞:宮】 にて【格助詞:で】 ぞ【係助詞】 おはしまし/けん【サ行四段活用動詞「おはします」連用形+過去推量の助動詞「けん」連体形:いらっしゃっていただろう】 や【係助詞】 」  と【格助詞:と】 。 
   いとど【副詞:非常に】 恥づかしく【シク活用形容詞「恥づかし」連用形:きまりが悪く】 悲しく/て【シク活用形容詞「悲し」連用形+接続助詞:かわいそうであって】 、 「 さもあら/ば【ラ行変格活用動詞「さもあり」未然形+接続助詞:そうであるなら】 見つけ/られ/奉り/たら/ん【カ行下二段活用動詞「見つく」未然形+受身・尊敬・自発・可能の助動詞「らる」連用形+謙譲の補助動詞「奉る」連用形+完了の助動詞「たり」未然形+婉曲の助動詞「ん」連体形:見つけられて差し上げているような】 時【名詞:時】 、 いかが【副詞:どのように】 は【係助詞】 せ/ん【サ行変格活用動詞「す」未然形+意志・推量の助動詞「ん」終止形:しよう】 。 跡【名詞:跡】 はかなく【ク活用形容詞「はかなし」連用形:はかなく】 聞か/れ/ん【カ行四段活用動詞「聞く」未然形+受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」未然形+意志・推量の助動詞「ん」連体形:聞かれよう】 と【格助詞:と】 こそ【係助詞】 思ひ/し【ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:思った】 を【格助詞:を】 、 かかる【連体詞:このような】 さま【名詞:様子】 に/て【格助詞+接続助詞:で】 見え/奉ら/ん【ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」連用形+謙譲の補助動詞「奉る」未然形+婉曲の助動詞「ん」連体形:見えて差し上げるような】 、 いと【副詞:とても】 恥づかしき【シク活用形容詞「恥づかし」連体形:立派である】 こと【名詞:こと】 に【格助詞:に】 も【係助詞:も】 」  と【格助詞:と】 、 今さら【副詞:今さら】 苦しけれ/ば【シク活用形容詞「苦し」已然形+接続助詞:苦しいと】 、 宮【名詞:宮】 おはします【サ行四段活用動詞「おはします」連体形:いらっしゃる】 時【名詞:時】 は【係助詞:は】 かしこう【ク活用形容詞「かしこし」連用形:恐ろしく】 すべり/つつ【ラ行四段活用動詞「すべる」連用形+接続助詞:すべっては】 見え/奉ら/じ/と【ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」連用形+謙譲の補助動詞「奉る」未然形+打消推量の助動詞「じ」終止形+終止形:見えて差し上げないだろうと】 すまふ【ハ行四段活用動詞「すまふ」連体形:否定する】 を【格助詞:を】 、 「 人【名詞:人】 も【係助詞:も】 いかなる【形容動詞「いかなる」連体形:どのような】 こと【名詞:こと】 に/か【断定の助動詞「なり」連用形+係助詞:で】 と【格助詞:と】 見【マ行上一段活用動詞「見る」連用形:見】 とがめ/ん【マ行下二段活用動詞「とがむ」未然形+意志・推量の助動詞「ん」連体形:責めよう】 か【係助詞】 」  と【格助詞:と】 、 これ【名詞:これ】 も【係助詞:も】 苦しう、【シク活用形容詞「苦し」連用形:苦しくて、】 「 とてもかくても【副詞:いずれにせよ】 思ひ【名詞:気持ち】 は【係助詞:は】 絶え/ぬ【ヤ行下二段活用動詞「絶ゆ」未然形+打消の助動詞「ず」連体形:絶えない】 身【名詞:身】 なり/けり【断定の助動詞「なり」連用形+過去の助動詞「けり」終止形:であった】 」  と【格助詞:と】 思ふ/に/は【ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形+格助詞+格助詞:思うのには】 、 例/の【名詞+格助詞:いつもの[いつものように]】 、 涙【名詞:涙】 ぞ【係助詞】 まづ【副詞:まず】 こぼれ/ぬる【ラ行下二段活用動詞「こぼる」連用形+完了の助動詞「ぬ」連体形:こぼれてしまう】 。 
   ある【連体詞:とある】 昼つかた【名詞:昼の頃】 、いと【副詞:とても】 しめやかに/て【ナリ活用形容動詞「しめやかなり」連用形+接続助詞:物静かであって】 、 「 宮【名詞:宮】 も【係助詞:も】 今朝【名詞:今朝】 より【格助詞:から】 内裏【名詞:宮中】 に【格助詞:に】 おはしまし/ぬ【サ行四段活用動詞「おはします」連用形+完了の助動詞「ぬ」終止形:いらっしゃってしまう】 」  とて【格助詞:といって】 、 持た/せ/給へ/る【タ行四段活用動詞「持つ」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連用形+完了の助動詞「り」連体形:持たせなさっている】 筆【名詞:筆】 に/て【格助詞+接続助詞:で】 墨【名詞:墨】 を【格助詞:を】 いと【副詞:とても】 濃う【ク活用形容詞「濃し」連用形:濃く】 塗ら/せ/給へ/ば【ラ行四段活用動詞「塗る」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」已然形+接続助詞:塗らせなさると】 、 按察使の君【名詞:按察使の君】 、 にほひやかに【ナリ活用形容動詞「にほひやかなり」連用形:美しく】 うち【接頭語】 笑ひ/て【ハ行四段活用動詞「笑ふ」連用形+接続助詞:笑って】 、 そ/の【名詞+格助詞:その】 傍ら【名詞:かたわら(にいる人)】 に【格助詞:に】 、 

     初霜【名詞:今年初めて降りた霜】 も【係助詞:も】 、 置き/あへ/ぬ/ものを【カ行四段活用動詞「置く」連用形+未然形+打消の助動詞「ず」連体形+接続助詞:置きあわないけれども】 白菊【名詞:白菊】 の【格助詞:が】 早く【ク活用形容詞「早し」連用形:早く】 も【係助詞:も】 うつる【ラ行四段活用動詞「うつる」連体形:うつる】 色【名詞:色】 を【格助詞:を】 見す/らん【ラ行下二段活用動詞「見す」終止形+現在推量の助動詞「らん」終止形:見せているだろう】   

   と【格助詞:と】 、 いと【副詞:とても】 小さく【ク活用形容詞「小さし」連用形:小さく】 書き付け/侍る/を【カ行下二段活用動詞「書き付く」連用形+丁寧の補助動詞「侍り」連体形+連体形:書き付けるのでございますのを】 、 姫君【名詞:ご令嬢】 も【係助詞:も】 ほほ笑み/給ひ/つつ【マ行四段活用動詞「ほほ笑む」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連用形+接続助詞:ほほ笑みなさっては】 御覧ず【サ行変格活用動詞「御覧ず」終止形:ご覧になる】 。 
   をりふし【名詞:そのとき】 、 宮【名詞:宮】 は【係助詞:は】 音【名詞:音】 も【係助詞:も】 なく【ク活用形容詞「なし」連用形:なく】 入ら/せ/給ふ/に【ラ行四段活用動詞「入る」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形+格助詞:入らせなさると】 、 御【接頭語】 硯【名詞:すずり】 など【副助詞:なんか】 も【係助詞:も】 取り【ラ行四段活用動詞「取る」連用形:取り】 隠す/べき【サ行四段活用動詞「隠す」連体形+推量・意志・勧誘・当然・命令・適当の助動詞「べし」連体形:隠すべき】 ひま【名詞:暇】 さへ【副助詞:までも】 なく、【ク活用形容詞「なし」連用形:なくて、】 みな【副詞:すべて】 すべり/ぬる/に【ラ行四段活用動詞「すべる」連用形+完了の助動詞「ぬ」連体形+格助詞:すべってしまうところ】 、 姫君【名詞:ご令嬢】 も【係助詞:も】 まぎらはし【サ行四段活用動詞「まぎらはす」連用形:ごまかし】 に【格助詞:に】 扇【名詞:扇】 を【格助詞:を】 まさぐり/つつ【ラ行四段活用動詞「まさぐる」連用形+接続助詞:まさぐっては】 寄り/ゐ/給ふ【ラ行四段活用動詞「寄る」連用形+ワ行上一段活用動詞「ゐる」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」終止形:寄っていなさる】 。 按察使の君【名詞:按察使の君】 は【係助詞:は】 、 人【名詞:人】 より【ラ行四段活用動詞「よる」連用形:より】 異に【ナリ活用形容動詞「異なり」連用形:特別に】 いたう【ク活用形容詞「いたし」連用形:激しく】 苦しく/て【シク活用形容詞「苦し」連用形+接続助詞:苦しくて】 、 御【接頭語】 几帳【名詞:隔て】 の【格助詞:で】 後ろ【名詞:後ろ】 より【格助詞:から】 すべり/出で/ぬる【ラ行四段活用動詞「すべる」連用形+ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連体形:すべりだしてしまう】 を【格助詞:を】 、 いかが【副詞:どのように】 おぼし/けむ【サ行四段活用動詞「おぼす」連用形+過去推量の助動詞「けむ」連体形:お思いになったのであろう】 、 しばし【副詞:少しの間】 見/やら/せ/給ひ/て【マ行上一段活用動詞「見る」連用形+ラ行四段活用動詞「やる」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連用形+接続助詞:見なさらせなさって】 、 か/の【名詞+格助詞:あの】 跡【名詞:跡】 はかなく【ク活用形容詞「はかなし」連用形:はかなく】 見/なし/給ふ【マ行上一段活用動詞「見る」連用形+サ行四段活用動詞「なす」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形:ことさらに見ることをしなさる】 人【名詞:人】 の【格助詞:の】 こと【名詞:こと】 、 ふと【すぐに】 思し/出で/つつ【サ行四段活用動詞「思す」連用形+ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+接続助詞:お思いになりだしては】 恋しけれ/ば【シク活用形容詞「恋し」已然形+接続助詞:恋しいと】 、 過ぎ/に/し【ガ行上二段活用動詞「過ぐ」連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:過ぎてしまった】 こと【名詞:こと】 ども【接尾語:等】 繰り返し【名詞:繰り返し】 思し/出で/つつ【サ行四段活用動詞「思す」連用形+ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+接続助詞:お思いになりだしては】 寄り【ラ行四段活用動詞「寄る」連用形:寄り】 臥さ/せ/給ふ/に【サ行四段活用動詞「臥す」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形+格助詞:臥させなさると】 、 御【接頭語】 硯【名詞:すずり】 の【格助詞:で】 開き/たる【カ行四段活用動詞「開く」連用形+完了の助動詞「たり」連体形:開いている】 、 引き寄せ/させ/給へ/ば【サ行下二段活用動詞「引き寄す」未然形+使役・尊敬の助動詞「さす」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」已然形+接続助詞:引き寄せさせなさると】 、 あり/し【ラ行変格活用動詞「あり」連用形+過去の助動詞「き」連体形:あった】 御【接頭語】 手習ひ【名詞:手習い】 の【格助詞:が】 、 硯【名詞:すずり】 の【格助詞:で】 下【名詞:下】 より【格助詞:から】 出で/たる【ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形+完了の助動詞「たり」連体形:出ている】 を【格助詞:を】 取り/て【ラ行四段活用動詞「取る」連用形+接続助詞:取って】 見/給ふ/に【マ行上一段活用動詞「見る」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形+格助詞:御覧になると】 、 姫君【名詞:ご令嬢】 は【係助詞:は】 いと【副詞:とても】 恥づかしく/て【シク活用形容詞「恥づかし」連用形+接続助詞:立派であって】 顔【名詞:顔】 うち【接頭語】 赤らめ/つつ【マ行下二段活用動詞「赤らむ」連用形+接続助詞:赤らめては】 、 傍ら【名詞:かたわら】 そむき/給ふ【カ行四段活用動詞「そむく」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連体形:そむきなさる】 さま【名詞:様子】 、 いと【副詞:とても】 よしよししく【シク活用形容詞「よしよしし」連用形:趣がありげに】 にほひやかなり【ナリ活用形容動詞「にほひやかなり」終止形:美しい】 。 
   宮【名詞:宮】 つくづく【副詞:つくづく】 と【格助詞:と】 御覧ずる/に【サ行変格活用動詞「御覧ず」連体形+格助詞:ご覧になると】 、 白菊【名詞:白菊】 の【格助詞:の】 歌【名詞:歌】 書き/たる【カ行四段活用動詞「書く」連用形+完了の助動詞「たり」連体形:書いている】 筆【名詞:筆】 は【係助詞:は】 ただいま【名詞:たった今】 思ほし出で/し【ダ行下二段活用動詞「思ほし出づ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:思い出しなさった】 人【名詞:人】 の【格助詞:が】 、 「 草【名詞:草】 の【格助詞:の】 庵【名詞:粗末な家】 」  と【格助詞:と】 書き/て【カ行四段活用動詞「書く」連用形+接続助詞:書いて】 捨て/たる/に【タ行下二段活用動詞「捨つ」連用形+完了の助動詞「たり」連体形+格助詞:捨てているところ】 紛ふ/べう/も/あら/ぬ【ハ行四段活用動詞「紛ふ」終止形+当然の助動詞「べし」連用形ウ音便+係助詞「も」+ラ行変格活用動詞「あり」未然形+打消の助動詞「ず」連体形:はっきりしなくなるはずもない】 が【格助詞:が】 、 いと【副詞:とても】 心もとなく/て【ク活用形容詞「心もとなし」連用形+接続助詞:待ち遠しくて】 、 「 さまざまなる【ナリ活用形容動詞「さまざまなり」連体形:さまざまである】 筆【名詞:筆】 ども【接尾語:等】 かな【終助詞:だなあ】 。 誰々【名詞:誰々】 なら/ん【断定の助動詞「なり」未然形+意志・推量の助動詞「ん」終止形:だろう】 」 など【副助詞:などと】、 ことなしびに【ナリ活用形容動詞「ことなしびなり」連用形:なにげなく】 問は/せ/給へ/ど【ハ行四段活用動詞「問ふ」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」已然形+接続助詞:たずねさせなさるけれども】 、 うち【接頭語】 そばみ/おはする【マ行四段活用動詞「そばむ」連用形+尊敬の補助動詞「おはす」連体形:横向きになりなさる】 を【格助詞:を】 、 小さき【ク活用形容詞「小さし」連体形:小さい】 童女【名詞:童女】 の【格助詞:で】 御前【名詞:身分の高い者(の前)】 に【格助詞:に】 候ひ/し【ハ行四段活用動詞「候ふ」連用形+過去の助動詞「き」連体形:お仕えした】 を【格助詞:を】 、 「 こ/の【名詞+格助詞:この】 絵【名詞:絵】 は【係助詞:は】 誰【名詞:誰】 が【格助詞:の】 書き/たる/ぞ【カ行四段活用動詞「書く」連用形+完了の助動詞「たり」連体形+係助詞:書いているのである】 。 ありのまま【名詞:ありのまま】 に【格助詞:に】 言ひ/な/ば【ハ行四段活用動詞「言ふ」連用形+完了の助動詞「ぬ」未然形+接続助詞:言ってしまうなら】 、 いと【副詞:とても】 おもしろく【ク活用形容詞「おもしろし」連用形:趣深く】 我【名詞:私】 も【係助詞:も】 書き/て【カ行四段活用動詞「書く」連用形+接続助詞:書いて】 見せ/な/ん【ラ行下二段活用動詞「見す」連用形+完了の助動詞「ぬ」未然形+意志・推量の助動詞「ん」終止形:見せてしまう】 」  と【格助詞:と】 すかし/給へ/ば【サ行四段活用動詞「すかす」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」已然形+接続助詞:だましなさると】 、 「 こ/の【名詞+格助詞:この】 菊【名詞:菊】 は【係助詞:は】 御前【名詞:身分の高い者】 なん【係助詞】 書か/せ/給ふ【カ行四段活用動詞「書く」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」終止形:書かせなさる】 。 『 いと【副詞:とても】 悪し【ク活用形容詞「悪し」終止形:よくない】 』  とて【格助詞:といって】 書き【カ行四段活用動詞「書く」連用形:書き】 消さ/せ/給へ/ば【サ行四段活用動詞「消す」未然形+使役・尊敬の助動詞「す」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」已然形+接続助詞:消しなさると】 、 わび/て【バ行上二段活用動詞「わぶ」連用形+接続助詞:つらく思って】 、 按察使の君【名詞:按察使の君】 、 こ/の【名詞+格助詞:この】 歌【名詞:歌】 を【格助詞:を】 書き【カ行四段活用動詞「書く」連用形:書き】 添へ/給う/つ【ハ行下二段活用動詞「添ふ」連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」連用形ウ音便+完了の助動詞「つ」終止形:添えなさってしまう】 」  と【格助詞:と】 語り/聞こゆれ/ば【ラ行四段活用動詞「語る」連用形+謙譲の補助動詞「聞こゆ」已然形+接続助詞:語って差し上げると】 、 姫君【名詞:ご令嬢】 は【係助詞:は】 「 いと【副詞:とても】 差し【サ行四段活用動詞「差す」連用形:差し】 過ぎ/たり【ガ行上二段活用動詞「過ぐ」連用形+完了の助動詞「たり」終止形:過ぎている】 」  と【格助詞:と】 、 恥ぢらひ/おはす【ハ行四段活用動詞「恥ぢらふ」連用形+尊敬の補助動詞「おはす」終止形:恥ずかしがりなさる】 。  
 


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