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最終更新日 2008年10月19日 


 パソコンで古文を扱う

◆ はじめに
 「ひとをくらふなる」…徒然草の一部ですが、パソコンに入力して変換したらこんな風に表示されました。 「人を区ラフなる」…。正しくは「人を食らふなる」です。 古文をパソコンに入力しようとすると、単語が変なところで切れたり、正しい漢字がなかなか出てこなかったりと言うことは日常茶飯事です。
 パソコンで古文を扱う時、正しく変換できずにイライラする原因は、パソコンが入力されたひらがなを漢字に直すのに、 現代語の文法に従って解釈していること、古文特有の単語がパソコンの辞書に登録されていないことに由来します。 たとえば、「やうやうしろくなりゆくやまぎは」と入力して、「屋うやう白くなりゆく山気は」と変換されてしまうのは、 古文では使用するけれども現代語では(あまり)使用しなくなってしまった単語「やうやう」や「山際」が パソコンの辞書に登録されていないのが原因です。加えて、歴史的仮名遣「やまぎは」(現代語では「やまぎわ」)で入力しているのも 原因です。また「ほそくたなびきたる」が「細くたなびき足る」となってしまうのは、「たる」が助動詞として認識されていないからでしょう。
 やはり、現代語の文法に従って変換している通常の変換ソフトでは、古文を扱うには力不足と言わざるを得ません。そこで登場してくるのがATOKなのです。

◆ ATOKとは
 ATOKとは、IMEとか日本語インプットメソッド、日本語入力システム、かな漢字変換ソフトウェアなどと呼ばれているソフトウェアの中の一つです。 「きょうはよいてんきですね。」とひらがなの羅列で入力された文を「今日は良い天気ですね。」というように変換する仕事をしています。

  ATOKホームページ http://www.atok.com/

Windowsがインストールされたパソコンなら、Microsoft IMEと呼ばれるソフトウェアが入っていて、わざわざATOKを購入しなくても、 ひらがなを漢字やカタカナに変換することができます。しかし、残念ながらMicrosoft IMEには、古文の文法に従って文を解釈する機能が 備わっていないのです。

◆ ATOKの使い方
 通常の文章入力中は、ATOKも現代語の文法に従って変換しています。古文の文法に従って変換する場合は、表現モードを文語に 設定してやらねばなりません。

  設定変更の方法 http://support.justsystems.com/faq/1032/app/servlet/qadoc?QID=028069

◆ 変換精度比較
 ATOKを使うのと使わないのでどれくらい変換精度が違うのか比較してみました。強調表示してあるところが変換がうまくいかなかった個所です。

 
  ゆきのふりたるはいふべきにもあらず。
    一般的なIME  : 雪の降りたる配布べきにもあらず。
    ATOK : 雪の降りたるは言ふべきにも有らず。


 
  あまたたちてむかひあひたれば、
    一般的なIME  : あまた立ちてむかヒア浸れば
    ATOK : あまた経ちて向かひ合ひたれば、


 
  なをば、さぬきのみやつことなむいひける。
    一般的なIME  : 名をば、讃岐の宮津ことなむい引ける。
    ATOK : 名をば、讃岐の造となむ言ひける。


 
  ひがひがしからんひとのおほせらるること、ききいるべきかは。
    一般的なIME  : 日が東カラン人のおほせらるること、聞き入るべきかは。
    ATOK : 僻々しからん人の仰せらるること、聞き入るべきかは。


 
  あきのたのかりほのいほのとまをあらみわがころもではつゆにぬれつつ
    一般的なIME  : 秋のの刈穂の意穂の苫をあら美和が衣では梅雨に濡れつつ
    ATOK : 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ我が衣手は露に濡れつつ


 実際、ATOKでも正しい変換ができないことはあります。上記の例はうまくいった例を選んで載せました。 しかしながら、ATOKを使わないのと比べれば、変換を間違う回数は劇的に減るはずです。インターネット経由で体験版も配布されていますから、 まずはインストールして試してみてはいかがでしょうか。

◆ 古文入力が便利なだけではない
 ATOKは、古文を入力する以外にもいろいろと便利な機能が搭載されています。 たとえば、「きょう」と入力すると「2008年10月19日(日)」のように今日の日付に変換できたり、 「ほんまあんたが好きやねん」のような関西弁も間違わず変換できます(一般的なIMEだと「本間あんたが数寄屋年」)。

◆ 最後に
 古文自動翻訳研究センターは、ATOKを開発、販売している株式会社ジャストシステムとは一切関係ございません。 このページの内容に関して、株式会社ジャストシステムへのお問い合わせはご遠慮下さい。 また、このページの内容には古い情報、誤った情報が含まれている可能性がございます。 最終的にはご自身でご確認下さいますようお願いいたします。


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