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最終更新日 2009年05月31日 


 方丈記

◆ 方丈記とは

 方丈記は鎌倉初期の随筆で、1212年に成立したと言われている。 作者は鴨長明だ。鴨長明は鎌倉時代の歌人で、方丈記の他に発心集や無名抄といった作品を残している。
 作品の題名になっている「方丈」とは、一丈四方(約3メートル四方)の狭い部屋のことで、 鴨長明がこの世の無常さを悟って隠遁した日野山の庵のことをさしている。 方丈記とは、鴨長明が隠遁に至ったいきさつを記した作品なのである。 当然、世の中の無常を感じさせる記述が多い。また、和漢混淆文で書かれていることも特徴である。

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◆ ゆく川の流れ

 ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。 世の中にある人と住みかと、またかくのごとし。 たましきの都の内に、棟を並べ、甍を争へる、高きいやしき、人の住まひは、世々を経て尽きぬものなれど、 これをまことかと尋ぬれば、昔在りし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。 あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、 いにしへ見し人は二、三十人が中に、わづかに一人、二人なり。 朝に死に、夕に生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。 知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。 また知らず、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。 その主と住処と、無常争ふさま、いはば、朝顔の露に異ならず。 あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。 あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕を待つことなし。

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